メッセージ

化学システム工学研究室では、『木も見て森も見る』研究をします。森のことをよく理解して、その森ための木を植え育てます。逆に種から育った木を見て、どんな森ができるかの提案と設計をもします。一例として、燃料電池の新規な水素精製システム開発を紹介します。新たなシステム(森)として一酸化炭素を選択的にメタン化して除去する方法を提案し、これを実現するための触媒材料(木)を開発しました。水素精製システムの設計と要素技術の触媒材料開発の両方に取り組むことで、新しいシステムの実現に効率的に近づくことができました。

一方で、要素の材料開発(木)では、思いもかけない発見に出会うことがあります。前述の一酸化炭素を選択的にメタン化する触媒開発では、共存する二酸化炭素を100%の選択率でメタン化する材料(木)が見つかりました。当初の目的からは「ダメ触媒」なのですが、近年注目されている二酸化炭素のメタン化触媒としては「極めて優れた触媒」です。グローバルな炭素循環システム(森)に大きく貢献する材料です。このように、物質の性能を正確に把握し理解することと、柔軟な思考でそのシステムへの展開を思考することで、皆さんの前には新しいシステムを開発する大きな可能性が広がっています。一緒にゼロカーボン社会に向けた研究を進めましょう。